Part2. イギリス雑誌の編集長として

22冊の『RSVP』総括

リニューアル後、『RSVP』では22号まで編集長を務め、自分なりのイギリス感を伝え続けることができました。出版業界では、このような本(=1つの国をテーマにして、1人の編集者が作り上げる本)が長く続くのは極めて異例だそうですが、とにかく私は自分の感じるまま、読者から求められるままに突っ走ってきただけです。

この雑誌に限らず、私が本を作るときは、基本的に他の日本語の書籍や雑誌などを見ることはありません。あくまで自分が感じたこと・伝えたいことを、自分のスタイルで表現することに重きを置きました。次の号の内容を考えるために、書店で類似本を見るのではなく、まずはイギリスに飛び、街を歩いたり現地の人たちと会ったりする。これが毎号の”ルーティーン”だったのですが、とにかく現地の空気のなかから生まれるアイデアを大切にしたかったのです。

22冊のバックナンバーを手にとってページをめくると、まるで若い頃のアルバムを見るかのような感覚になってしまうのですが、取材を通じて出会った方々の顔が浮かんできます。『RSVP』で初めてメディアデビューし、今も紅茶やイギリス菓子の最前線で活躍している方も少なくありませんし、『RSVP』に触れたことがきっかけでイギリス菓子のティールームを開いている方もいます。

また、イギリス人たちの顔も浮かんできます。誰もが知っているお城の領主夫人、バロネスの称号を持つソプラノ歌手をはじめ、たくさんの人たちが「こういう情報はRSVP向きじゃないかしら?」「こういう面白い人がいるから取材してみたら?」と情報を提供してくれたり協力してくれたりしました。

英国大使館広報誌の時代はひとつだけだった“未知なる世界へのドア”が、雑誌を続けるうちに増えていき、気がつけばいくつものドアが目の前にあるような感覚です。


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