Part2. イギリス雑誌の編集長として

開かれた「英国」への扉

私が「イギリス」と出会ったのは、1988年に創刊された駐日英国大使館広報部発行の年刊誌の制作に関わったことがきっかけでした(1988年『ライフスタイル・ブリテン』、1990年『クリエイティブ・ブリテン』、1992年以降は『クオリティ・ブリテン』という誌名で2008年まで継続)。

この媒体は、イギリスの商品や文化を伝えるのが目的で、在日の英国系企業の広告なども盛り込んだいわゆる”雑誌”スタイルでしたが、当時、大使館が雑誌形式の媒体を発行するというのは前例がなく、その後、アメリカ、ドイツなど様々な国の大使館や観光局がこのスタイルを取り入れるきっかけにもなりました。

書籍と違って雑誌作りにはたくさんの人が関わるため、出会いの機会も多くなります。私の場合はこの雑誌を通じて、歴代の駐日英国大使をはじめ、さまざまな分野の英国人、ビジネス界から個人の英国ファンまで、多くの方々と出会うことができました。また現地では政府組織や制作会社などとの仕事も経験し、英国流のビジネスにも触れることに。こうして、少しづつ「英国」への扉が開かれていったのです。

実は、この雑誌に関わりはじめた頃、私はまだイギリスには行ったことがありませんでした。私の周囲には幼い頃から英文学に触れたり海外生活の経験を経てイギリスに目覚めたというような方が多いのですが、私の初渡英は30歳を過ぎてからですから、かなりの“遅咲き”ということになります。

このような仕事をしていると「イギリス好きの究極形」のようなイメージを持たれているようなのですが、仕事のひとつとして「イギリス」と出会い、その魅力を徐々に知っていったというのが本当のところです。好きという思いが強すぎないからこそ、いろいろな分野の方々との接点を見出すことができ、この仕事を長く続けることができたのかもしれません。


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