Part3. 私の仕事の舞台裏へ

英国展という舞台

百貨店で開催される英国フェア・英国展は、今の業務の中でとても重要な位置付けです(ちなみに、阪急は英国フェア、三越伊勢丹は英国展と呼び方が異なります)。催事との関わりは『英国特集』を創刊した頃にさかのぼりますが、初期の催事の経験はほとんど阪急英国フェアが舞台となりました。

催事に出る際は、紅茶やお菓子の輸入、店頭販売を行うわけですが、最初の頃はまったく経験がなかったわけですから試行錯誤が続きました。しかし慣れてくると、この催事が単なる物販イベントではなく、イギリスファン同志の交流の場であり、また同時に雑誌作りで出会ったイギリス人たちとの仕事の場にもなり得るということに気づき、徐々にやり甲斐のあるビジネスになっていったのです。

阪急英国フェアの中で私にとっての最高の経験は、2014年の「ベティーズ出店」です。北ヨークシャー、ハロゲイトに拠点を構えるこの老舗ティールームは、ティールームファン憧れの存在。地元主義を貫くことでも知られ、海外からの出店オファーを断り続けてきたベティーズが、なんと阪急英国フェアに出店することになり、私が日本での受け入れ役を任されることに。

出店OKとなったのはバイヤーの桑原渉氏が何年もかけて説得してきたことが最大の理由ですが、私は私で取材やツアーを通じてベティーズとの関係を築いてきたことも後押しになりました。ハロゲイトでの最終打ち合わせの際、べティーズの幹部から「Mr.シンタクがパートナーなら安心して出店できる」という言葉をかけられた時は天にも登るような気持ちでした。

一方、日本橋三越で開催される英国展との関わりは2016年からのこと。コッツウォルズに拠点を置いていたあるティールームの催事出店を実現させたいと、私からバイヤーさんにコンタクトを取ったのがきっかけでしたが、この出店によって英国展が大きく盛り上がりました。それ以降、日本橋三越での英国展ではメインティールームのコーディネートや運営を担当するようになりました。

英国展でのメインのティールームは催事の看板です。売り上げをどれだけ上げるかも大事ですが、それと同時に、早朝から会場でスコーンやケーキを焼き、その香りを会場に漂わせることで催事を盛り上げる責任も負います。今もスリーティアーズは「会場で焼くスコーン」にこだわって、早朝から深夜まで粉まみれになりながら作業をこなしていますが、これは焼きたてを食べてほしいという思いとともに、英国展全体を盛り上げたいという気持ちの現れでもあります。


主な英国フェア・英国展
コーディネート実績

阪急英国展
プディング・クラブ(プディング愛好家ソサエティ出店)/ザ・ゴーリング(スコーン物販)/インフューズ(紅茶物販)/ザ・トフィー・ショップ(ファッジ物販)/ハーディー(羊キャラクター雑貨物販)/ファーラーズ(紅茶物販)/グラスミア・ジンジャーブレッド(菓子物販)/ベティーズ(紅茶・お菓子物販)

日本橋三越・新宿伊勢丹 英国展
ジュリスティールーム(ティールーム出店)/ペギー・ポーション(ティールーム出店)/バルドリーズ(ティールーム出店)/チカ・ワタナベ・ロンドン(ティールーム出店)/クロック・ハウス(ティールーム出店)/ブラムリーキャンペーン(物販)/ナショナル・ベーカリー・スクール(ティールーム出店)/ダン・レパード(ティールーム出店)

ジェイアール名古屋高島屋 英国展
ピーターシャム・ナーサリー(ティールーム出店)/クーツ(ティールーム出店)/キャロライン・クーパー(ティールーム出店)/エマ・ブリッジウォーター(陶器物販)


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